こんにちは!講師の櫛山です。
本日は『料理酒』について解説していきます。私達日本人の食文化に欠かせない発酵調味料の一つです。
みなさんは料理酒をどんな目的で使っていますでしょうか?臭い消し?コク足し?普段何となく使ってはいるけど、ハッキリとした効果が頭に入っている人は少ないのではないでしょうか。
私はいわゆる『塩分が入っている』料理酒は使わず、無塩の清酒を使っています。この記事中で表記している『料理酒』は塩分が入っていない、料理酒/清酒を指してご説明させて頂いております。
ちょっと混乱しますよね(^-^; 要は塩分の入っていない料理酒で説明してるんだなと、ご理解頂ければと思います。
意外かもしれませんが、高い清酒より雑味の多い安価な清酒の方が料理酒に向いているのです。不思議ですね。
この記事では料理の初心者向けに、料理酒の効果・使い方・成分・何を買えば良いのかなどをみていきます。あなたの料理の引き出しが少しでも増え、日々の食生活がより豊かになれば幸いです\(^-^)/
それではいってみましょう!
ブログでは料理についての様々な情報を公開しております。
家で比較的簡単に実行できて、楽しくなる料理のアイデアです。
ぜひチェックして頂けると嬉しいです♪

さて、それでは料理酒をみていきましょう。
まず料理酒/日本酒は、
・米麹
・水
を原料にして20日〜30日間、糖化とアルコール発酵を同時に進行させながら造られます(並行複発酵)。
米麹中の酵素によりお米のデンプンやタンパク質が『糖』に分解されて、糖は酵母によりアルコールに変えられていきます。
料理酒の効果をざっくりまとめると以下になります。
・お肉やお魚の臭みを消す
・お肉やお魚を柔らかくする
・食材への味の浸透性をUPさせる
・煮崩れを防ぎ、旨味を閉じ込める
・コクと旨味を足す
・とがった酸味と塩味を和らげる
すごいですよね、料理酒を使うだけでこれらの作用で食材の味が引き立てられ美味しくるのです。これはもう普段の料理に使うしかないです(笑)
食材の味を『引き立てる』という事は、全面に出ないように少量使うという事です。まずこれで料理酒を使う量がざっくりイメージできましたね♪
ちなみに料理酒と同じような効果を持つ『みりん』については『料理のプロが教えるみりんの効果と使い方』で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください♩
これで料理酒とみりんについての苦手意識はかなり減ると思います♪
それでは料理酒の何がどう食材に働いていくのか、深堀りしていきましょう(^-^)/
■料理酒の効果
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■お肉やお魚の臭みをとる
では具体的にお酒の何が食材の臭みをとるのかをみていきます。
・アルコール
煮物の時、火を加えるとアルコールと周りの液体が揮発します。これを『共沸効果』と言います。混合液体中の臭みを伴ってアルコールが揮発する事により、臭みを消してくれます。
※この時しっかりと蓋はせず、2分〜3分待ってアルコールが飛ぶのを待ちましょう。
・クエン酸
料理酒の中に含まれる有機酸(主にクエン酸)が、お肉やお魚の油に含まれる臭い物質の生成(酸化)を抑制してくれます。これを『キレート作用』と呼び、食材の中にある金属イオンが結合する反応を指します。
簡単に言うと臭気成分の吸着と抗酸化作用により臭みが低減されると言う訳です。
_人人人人人人人人人人人人_
> 簡単に言えてないですね。<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
クエン酸はレモンなどの酸味の強い柑橘に多く含まれます\(^-^)/
食材の臭みを取る方法として『お肉やお魚の臭みを取る7つの方法』の記事でもご紹介しておりますので、合わせてご覧ください♪
■お肉やお魚をを柔らかくする
食材を料理酒が食材を柔らかくする?!何で?ちょっと難しいお話になります。
・有機酸
お肉やお魚が『柔らかい』という事は『水分が含まれている』という事をいいます。一般的にお肉の保水力はpH5(ペーハー)から酸性、もしくはアルカリ性に傾くと上がります。
これは内部の筋繊維がpHの変化によって退け合い、水分が入り込む余地が広がり、保水力が上がるという訳です。料理酒でお肉を漬けると、お酒の中の有機酸の効果により酸性に近づき、筋繊維に水分が入って柔らかくなります。
この効果はお酢やワインで『マリネ』する時にも同様に起こります。
ちなみにアルカリ性に傾けても同様な事が起こります。例えば重曹水やベーキングパウダーなどですね。
しかし他にアルカリ性の調味料は私の知る限りなく、日本酒、ワイン、ヨーグルト、牛乳、ハチミツ、コーラ、レモンなどの身近な酸性食品で柔らかくする方が現実的ですね\(^-^)/
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■食材への味の浸透性をUPさせる
■煮崩れを防ぎ、旨味を閉じ込める
・アルコールと糖分
野菜や果物の細胞壁は水溶性食物繊維である『ペクチン』でできています。ジャムを作る時、ゲル状になる物質の一つです。善玉菌の餌にもなるこのペクチンは熱に弱く、これが加熱により溶けてしまい煮崩れを引き起こします。
しかしアルコールがペクチンに浸透するとペクチンの結びつきが強まり、熱が加わっても溶けにくくなります。しかもアルコール単体で使うより、糖分と合わせて使うとよりその作用が強まります。
なので料理酒やみりんは煮崩れ防止に最適で、加えて食材の旨味も閉じ込めてくれる効果もあります\(^-^)/
それでも煮崩れをしてしまうというあなた、それはもしかしたら『火加減が強い』可能性があります。
■コクと旨味を足す
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■とがった酸味と塩味を和らげる
とがった強い味(酸味や塩味)をみりんが丸く覆い隠して、まろやかに仕上げてくれます。
この効果はみりんと共通していますが、料理酒は入れすぎると別の酸味が立ち、みりんは入れすると甘味が目立ってきますので、酸味や塩見を消す目的であれば料理の仕上げにさっと少量かける程度にしましょう。
その際、『煮切り酒』を使うと楽です(あらかじめ沸かしてアルコールを飛ばした状態のお酒)。
さて、ここまで料理酒の様々な効能とその根拠をみてきました。少しは料理酒の事が好きになったと思います\(^-^)/
それでは次は具体的にどう使えばいいのかみてきましょう!
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■料理酒の使い方の1例
さて、それでは使い方の1例をご紹介します。
・臭みを取る
調理する前のお肉やお魚を調味料で漬ける時に料理酒を加えます。使う量は全体に薄く行き届くかなーという程度でOK。 多すぎると酸味やえぐみが立ってしまうので注意。
料理酒に入っている糖分により、焼き上がりに照りが出て美味しそうに見えます。もちろん味も美味しいです(^-^)/
・揚げ衣に加える
揚げる食材にお酒を加えて臭みを取るのは↑に書きましたが、揚げる衣に料理酒を加えても美味しいですよ♪私はフリットをする時にはビール100%で衣を作ります。
薄力粉に水と料理酒を1:1の割合で入れて衣を作ってみてください。いつもと一味違った味わいになります。
・煮る
簡単な和風ダレとして、醤油・酒・みりんを1:1:1で煮詰めると照りのある馴染み深いタレが出来上がります。焼き鳥にかけるととっても美味しいです♪きんぴらゴボウもこの割合にきび糖を加えればできます♪
甘辛い魚の照り焼きを作るときは、醤油・酒・みりんを1:3:5で煮詰めると美味くできます。
水炊きをする時、鍋に具材を入れて潰したニンニク・お酒を鍋の1/3量・刻んだ生姜を加えて煮ると、とっても良いお出汁が出ます。ポン酢に浸して頂きましょう\(^-^)/
煮物をする時にさっと1回し〜2回し加えると食材の煮崩れを防げます♪
・蒸す
包み蒸し/焼きする時に食材に料理酒をさっと振って調理します。ふっくらと仕上がり、香りもつきます。
・茹でる
臭みが気になる食材を霜降りする時、熱湯に2回しほど料理酒を加えて茹でると効果抜群です。加えて素材の風味も増します!
・炊く
お米を炊いた時に、硬くて失敗してしまった時....料理酒をひと回しかけて少し火にかけてむらすとふっくら炊きあがります。古米など味が落ちたお米には、3合のお米に対して5ml~10ml程かけて炊くと美味しく炊きあがりますよ\(^-^)/
・調整として
塩味や酸味のカドが立ってしまったお料理に、数滴たらして混ぜてあげるとまろやかに収まります。
■料理酒を買う前に

ここまで勉強してきたらどんな料理酒を買うか迷いますよね。でもオススメの前に料理酒とは何なのかを知っておく必要があります。
料理酒とはなんぞやと細かくみていくと、細かすぎて逆に混乱すると思いましたのでわかりやすく簡潔にみていきますね(笑)
■料理酒には塩分が添加されている物とそうで無い物がある
これはご存知の方も多いかと思います。
日本で市販されている料理酒の多くには、食塩や酢の添加により不可飲処置が施されている。これは、不可飲処置を施すことで酒税法上の酒類に該当しなくなり、酒税の課税対象から外れるので安価になるとともに、酒類販売免許を持たない商店などでの販売も可能になるためである。また、製造者の記載義務もない。Wikipediaより
なのでお酒を取り扱う事のできないお店でも安価で料理酒として置く事ができるんですよね。大きなスーパーでは、酒税がかかるお酒はとは別の棚で売られている訳もこれで分りましたね。
塩分や添加物などが入っている料理酒はそのまま飲む事もできませんし、必要のない塩分が料理の邪魔をしますので私は使いません。お酒コーナーにある、清酒を選んで買っています。
■清酒とは
塩分の入っていないお酒、つまり清酒を買えばいいのはわかったけど、じゃあどんな清酒がいいの?という疑問になると思います。
簡単に順を追って簡単に説明するとまず日本酒は広義な意味合いで、その中にみりんと清酒が含まれます。詳しくは条件によって違ったりするのですが、簡単にいうとこうです。
そして清酒の種類として以下に区分されています。
ここで楽しいお酒.jpさんの『清酒と日本酒の違いを解説!知っておきたい清酒のおいしい飲み方《SAKE DIPLOMA監修》』より記事の一部を引用させて頂きます。
これを見てあー、そーゆー事だったのね!と思った方も多いはず\(^-^)/
『精米歩合』とは精米の比率を示し、数値が低いほど高度に精米されているという意味です。
清酒は大別すると『醸造酒』と『純米酒』に分けられます。
・『醸造酒』
:原料は水・米・米麹・醸造アルコール。清酒を作る過程で味や香りを引き立てたり、まるみを持たせたりする為に醸造アルコールを添加したもので、すっきりとした雑味の無い清酒に仕上がります。
・『純米酒』
:原料は水・米・米麹で作られ、旨味やコク、ふくよかさなどの癖の強く出た濃醇な清酒になります。
※清酒は酸度が強いと辛口な味わいに感じられます。
冒頭でも申しました。「雑味の多い安価な清酒の方が料理酒に向いている」のを覚えておりますでしょうか?これがいわゆる『純米酒』に当たります。
なので、料理に使うべきお酒は『米と米麹で作られた、安価な純米酒』という事が言えます。お酒コーナーには料理酒用にわざわざ作られた清酒(醸造酒)が置いてありますので、予算に合わせてそちらを選んでも良いかと思います!
■清料理酒の旨味である『有機酸』を細かく見てみる
さてここまで来ると、もはや初心者向けの内容ではありませんよね。有機酸の種類なんて知りたがる料理初心者がどこまでいるのか?いやいない_(:3 」∠)_ここからはどうせなら知りたい方だけ見ていってください\(^-^)/
・料理酒に含まれる『有機酸』の組成
おおよそ、コハク酸>リンゴ酸>乳酸>クエン酸>酢酸の順に多く含まれます。
・コハク酸
:貝類に多く含まれる旨味成分で、コクを感じさせます。燗酒にした時にコハク酸がおいしく感じられるのが特徴で、多すぎると舌に刺さるような苦味や雑味を感じます。
・リンゴ酸=オキシコハク酸
:リンゴから発見された為この名がつきましたが、ブドウにも存在します。さっぱりとした後味の引かない強い酸味、爽やかな印象。
・乳酸
:乳酸菌から生成されます。様々な種類があり、伝統的な生酛(きもと)製法では生成された乳酸が雑菌の繁殖を防いでくれます。鋭い酸味を持ちます。
・クエン酸=枸櫞
:柑橘類に多く含まれます。乳酸と同じく雑菌の繁殖を防ぐため、気温の高い地域で造ることが多い焼酎造りに白麹菌や黒麹菌が使われます。清酒造りでは主に黄麹菌が使われます。これも鋭い酸味がありますが、爽やかな風味があります。
・酢酸
:酢酸菌の発酵により生成され、食酢・ヴィネガーに含まれます。強い酸味と刺激臭があります。そのままの摂取は刺激が強く、薄めて飲んだとしても後味はそんなによろしくはありません。
ちなみに旨味成分を大別すると、アミノ酸系・有機酸系・核酸系になります。話が広がりすぎるのでここでは言及しません(^_^;)
清酒を火入れするとコハク酸とリンゴ酸が減少し、乳酸が増加するそうです。想像するに、コクと酸味を感じやすくなるといった所でしょうか。料理酒を入れすぎると料理の味を邪魔する事が分りますね。
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■料理酒は何を買えばいいの?

旨味とコクを足してくれるので、料理酒は和風の料理にはかかせんませんね。化学調味料を使わず旨味が足されるので使わない手はありません。
料理酒はみりんとよく合わせて使われるので、ここでもう一度ご紹介しておきます。
みりんについて『料理のプロが教えるみりんの効果と使い方』で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください♩
料理酒とみりんの効果の違いを簡単にまとめた記事をご用意しました。
簡潔に効果の違いを確認したい方は『料理酒とみりんの効果の違いまとめ』をご覧ください。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。
料理酒、奥が深かったですね。かなりマニアックな話までしてしまいました。まとめると、
・買うなら安価な純米酒か、料理酒用に作られた清酒
(食塩の入っていない物)
・使用量は少なめに
・使う場面は様々で、下ごしらえ、調味料を加える前、仕上げに
・料理の味を引き立ててくれる日本が誇る発酵調味料
といった所になります。発酵食品ですので、腸内の善玉菌を増やしてくれますし、料理の味も良くしてくれる、使わない理由が見当たらない調味料です。
他の記事にも書きましたが、ルールに縛られずまずは使ってみる事が大事です。
『料理はレシピではなく、味で覚えましょう』
あなたにとってベストな組み合わせが見つかるといいですね(^^)/
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
あなたの料理ライフがより良いものになりますように♪
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